2018年9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」。筆者も札幌市在住で、住宅は鉄筋造ですが相当な揺れでした。今回、このような大きな地震に見舞われましたが、「マグニチュード」と「震度」の違いがはっきりわからないことに改めて気が付きました。
そこで今回は、マグニチュードと地震の違いについて、そして地震速報の仕組みについて調べてみたいと思います。
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「マグニチュード」と「震度」
「マグニチュード」とは地震の「規模」を数値化したもので、数字が大きくなればなるほど、その地震の「規模(地震のエネルギー)」が大きなものとわかります。
一方、「震度」とはどれくらいその「場所」が揺れたのかを数値化したもので、「場所」が変われば震度も変わってきます。
今回参考にした「仙台管区気象台:震度とマグニチュード」の資料では、マグニチュードと震度のイメージを「電球の明るさ」に置き換えて説明しています。
地震の様子を電球の明るさに置き換えると
電球に近い人ほど明るさを感じ、遠い人は明るさを感じません。
これを地震に置き換えると、
マグニチュード(電球)に近い人ほど揺れ(明るさ)を感じ、遠い人は揺れ(明るさ)を感じません。
一方で、より大きな電球の場合、近い人はより眩しくなり、遠い人も明るさを感じるようになります。
これを地震に置き換えると、より大きなマグニチュード(電球)の場合、近い人はより強い揺れ(眩しく)になり、遠い人も揺れ(明るさ)を感じるようになります。
以上のように、マグニチュードと震度は似て非なるものです。例えマグニチュードが高くても、震源地から離れた場所にいれば震度は低くなるということです。
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「マグニチュード」について
マグニチュードは地震の規模を表し、マグニチュード(M)の規模には「M−2.0〜M12.0」までが存在します。
過去に発生した地震のマグニチュードで最高の数値は1960年に発生したチリ地震の「マグニチュード9.5(※モーメントマグニチュード)」というもの。
「モーメントマグニチュード(Mw)」とは、断層面の面積・変位の平均量・断層付近の地殻の剛性から算出する、より正確な地震の規模を表すもので、「マグニチュード(M)」とは異なる計算方法で算出されます。
「マグニチュード」のレベル一覧
−2.0〜 | 極微小地震(無数に発生) |
1.0〜 | 微小地震(1分〜1時間に数回程度) |
3.0〜 | 小地震(1日に数回〜数十回) |
5.0〜 | 中地震(1年に10回〜15回ほど) |
7.0〜 | 大地震(1〜2年に1回程度) |
8.0〜 | 巨大地震(10年に1回程度) |
9.0〜 | 超巨大地震(数百年に1回程度) |
10.5〜 | (規格外)恐竜絶滅に追い込んだ隕石衝突の規模 |
12.0 | (規格外)地球が真っ二つに割れる規模 |
マグニチュードは以上の表でも分かる通り、12.0を最大としたものとなっていますが、マグニチュードが1つ増加するだけで地震のエネルギーは約32倍になり、マグニチュードが2つ増加するだけで地震のエネルギーは1024倍となります。
マグニチュードが1つ違うだけで、より大きなエネルギーが発生している事がわかりますね。
現実的には「マグニチュード10.0」までが、地球で起こりうる最大規模のマグニチュードで、それ以上は地球崩壊のレベルなのです。
「震度」について

私達にとってはマグニチュードよりも震度のほうが馴染み深く、わかりやすいものですね。震度に関しては「震度0〜震度7」までとなりますが、実は全部で10段階に表されています。
「震度」のレベル一覧
震度0 | 揺れを感じないレベル |
震度1 | 屋内で静かにしていれば、揺れに気が付く人が微かにいるレベル |
震度2 | 屋内で静かにしていれば、多くの人が揺れに気が付くレベル |
震度3 | 屋内にいるほとんどの人が、揺れに気が付くレベル |
震度4 | ほとんどの人が揺れに気付き、置物などが倒れるレベル |
震度5弱 | 物につかまらなければ危険を感じ、棚にある物が落ちたり固定していない家具が倒れるレベル |
震度5強 | 物につかまらないと歩行は難しく、補強されていないブロッグ塀が崩れる場合もあるレベル |
震度6弱 | 立つことは困難になり、壁のタイル、窓ガラスも破損、耐震性の低い木造建物が傾く場合もあるレベル |
震度6強 | はわないと移動することが困難で、地割れが発生する場合もあるレベル |
震度7 | 耐震性の高い木造建物も傾く場合があり、耐震性の低いコンクリート造の建物でも倒壊する場合があるレベル |
日本で震度7を記録した過去の地震
震度については「震度7」が最大レベルとなっていますが、これまで日本で震度7を観測した主な地震時のマグニチュードについて見てみましょう。(以下が全てではありません)
1923年 | 関東大震災 |
マグニチュード 7.9 | |
1995年 | 阪神・淡路大震災 |
マグニチュード 7.3 | |
2003年 | 十勝沖地震 |
マグニチュード 8.0 | |
2004年 | 新潟県中越地震 |
マグニチュード 6.8 | |
2011年 | 東日本大震災 |
マグニチュード 8.4、モーメントマグニチュード 9.1(日本観測史上最高) | |
2016年 | 熊本地震 |
マグニチュード 7.3 | |
2018年 | 北海道胆振東部地震 |
マグニチュード 6.7 |
前述の通り、同じ震度7であってもマグニチュードの違いで地震の規模も大きく変わってきます。
実際には震源地や深さによっても震度は変わってきますので、震度=マグニチュードとはなりません。
そして、2011年に発生した東日本大震災が、いかに桁外れな規模であったかがわかります。私の住んでいる場所でも震度6弱を観測しましたが、マグニチュードの大きさを比較すると恐ろしい気持ちになります。
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緊急速報のしくみ
以上のように、震度も0から7までありますが、テレビの緊急速報では震度1でいちいち緊急速報が流れることはありません。緊急速報が流れる震度は震度3〜というイメージではないでしょうか。
緊急速報は「警報」と「予報」の大きく2種類に分けられています。そして、特に予想震度が高くなると「警報」から「特別警報」に変わります。
緊急地震速報の発生条件
- 予報:マグニチュード3.5以上、もしくは最大予測震度が3以上の場合。
- 警報:最大震度が5弱以上と予想された場合(2点以上の地震観測点で観測)
- 特別警報:震度6弱以上の揺れが予想される場合
テレビやスマートフォンで緊急地震速報が通知されるのは「警報」から。
ただし、上記の表では震度5弱以上とありますが、
- 2点以上の観測点で地震波を観測
- 震度5弱以上が予想(震度4が予想される地域も含まれる)
がポイントとなります。
ですので、テレビなどで速報が流れるのは震度4が多いのかもしれません。(予想より小さかった場合は震度3の時もありますね)
因みに、「2点以上の観測点」にする理由は雷が観測点付近に落ちた場合の対策なのだそうです。
観測点付近に雷がドーンと落ちたら「地震だ!」と観測点が勘違いしてしまいますが、付近の観測点で同じように揺れを観測できなければ「落雷による揺れ」とわかるわけです。
観測点は北海道だけでも337箇所
地震の震度は計測震度計と呼ばれる器械で計測していますが、震度計は基本的に各市町村に必ず1台以上は設置されており、全国各地では4,200地点以上の震度計が設置されています。
そして、この震度計を管理しているのは「気象庁」だけでなく「地方公共団体」「防災科学技術研究所」も管理。
札幌市内を例に挙げると、
【気象庁】
- 札幌中央区北2条
【地方公共団体】
- 札幌中央区南4条
- 札幌北区篠路
- 札幌北区新琴似
- 札幌東区元町
- 札幌白石区北郷
- 札幌豊平区月寒東
- 札幌南区川沿
- 札幌南区石山
- 札幌西区琴似
- 札幌厚別区もみじ台
- 札幌手稲区前田
- 札幌清田区平岡
【防災科学技術研究所】
- 札幌北区太平
- 札幌南区定山渓温泉
以上の箇所に震度計が設置されています。
上記を含め、北海道の観測点を合計すると、
- 気象庁:88箇所
- 地方公共団体:80箇所
- 防災科学技術研究所:169箇所
※平成21年10月時点の数字です。
以上の337箇所に震度計が設置されています。
これらの観測点で震度が観測され、情報が発信されているわけです。
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さいごに
今回は地震とマグニチュードの関係、その違いについて解説してきました。簡単におさらいすると、
地震は「その地点の揺れの大きさ」
マグニチュードは「地震そのものの規模の大きさ」
を表しています。
今回は純粋に地震とマグニチュードについて触れてきましたが、地震大国である日本ですので、こうした知識も最低限つけておいて損はないはずです。
【参照】
- 仙台管区気象台 – 震度とマグニチュード
- wikipedia – マグニチュード
- 国土交通省 気象庁 – 緊急地震速報(警報)及び(予報)について
本記事に使用している写真は、北海道胆振東部地震とは関係のないイメージ写真です。
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