【海外情報】犬の拡張型心筋症とグレインフリーのフードとの関連性ついて

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2019年6月27日に「FDA(アメリカ食品医薬局)」から発表された、「グレインフリーのペットフードと拡張型心筋症との関連性」という調査内容。グレインフリーフードを与えている飼い主さんにとっては他人事ではない内容ですが、しっかりと読み進めると、まだまだ決めつけるには時期尚早という感じも。
そこで今回はFDAの調査内容と、グレインフリーのドッグフードと拡張型心筋症の関連性について考えていきたいと思います。


グレインフリーのペットフード

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アメリカ政府機関であるFDA(米国食品医薬局)から、「特定の食事と犬の拡張型心筋症との間の潜在的な関連性」に関する調査が2019年6月27日に発表されました。

この「特定の食事」というのは、ドッグフードの原料に「コーン」や「小麦」「米」「大麦」などの穀類を含まない、いわゆる「グレインフリー(穀物不使用)」のドッグフードのこと。

これらの穀物類の代わりに原材料に使用される、「エンドウ豆」や「レンズ豆」を含む豆類、および「ジャガイモ」や「サツマイモ」を高い割合で含むドッグフードが、今回の調査対象となっています。

なぜ「グレインフリー」が選ばれる?

犬は穀物類を消化するために必要な「アミラーゼ」という消化酵素が少ないため、穀物類を消化するのが苦手と考えられています。

大量の穀物類を摂取させることで肥満やアレルギーを引き起こす要因となったり、消化不良を引き起こす要因となるため、犬や猫に穀物類はできる限り避けるべきという考え方が浸透してきています。

また、犬や猫はタンパク質を多く必要し、中でも肉などの動物性タンパク質は犬や猫にとって最も良い原材料という考え方が一般的。グレインフリーのフードは穀物類を含まず、動物性タンパク源を適切に含んだ、高品質なペットフードとして選ばれるようになってきています。

現在のメインカテゴリでもあるグレインフリーフード

(他にも理由はありますが)こうした理由でグレインフリーのペットフードが注目されており、ここ数年の流行りとも言えるカテゴリとなりました。犬や猫にとって、グレインフリーのペットフードはより犬猫に適した、健康的なフードというイメージで販売されてきています。

そこに一石を投じるような形となった今回のFDAによる発表は、「グレインフリーフードは”もしかすると”犬猫の拡張型心筋症の要因になるかも」というものです。

FDA調査内容と拡張型心筋症

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ではFDAの調査内容についてご説明していきたいと思います。

まず、今回の調査内容が発表されたのが2019年6月27日で、調査の対象期間は2014年1月1日〜2019年4月30日(5年120日)となっています。

この期間中、FDAに報告された「拡張型心筋症(DCM:DilatedCardiomyopathy)」の数は524件となっており、内訳は以下の通り。

  • 犬:515件(内、死亡例が119件)
  • 猫:9件(内、死亡例が5件)

ちなみに、今回の調査では「拡張型心筋症」の関連性についてまとめられていますが、「心筋症」には拡張型心筋症のほかに「肥大型心筋症(HCM)」や「拘束型心筋症(RCM)」という病気も存在しますが、調査対象とされているのは拡張型心筋症です。

なぜ拡張型心筋症の調査が行われている?

そもそも、なぜFDAに拡張型心筋症の報告が行われているのでしょうか。その経緯となるのが2018年7月にFDAから発表された、「特定のドッグフードを食べている犬の拡張型心筋症に関する調査」による、一般に向けた警告内容でした。

この調査報告では、下記に該当する犬の拡張型心筋症による報告が多く上げられていたため、FDAが発表したという経緯があります。

  • 遺伝的にかかりにくい犬種で拡張型心筋症が確認された
  • グレインフリーのドッグフードを与えていた
  • フードの原材料に豆類、もしくはじゃがいもが使用されている

その後、FDAでは獣医師や栄養士、病理学者、疫病学者、その他の関連機関と協力し、情報の収集と調査を行うこととなったわけです。

調査対象となる2014年1月〜2019年4月の内、2014年〜2017年までの合計は10件に満たない数だったのに対し、FDAが警告内容を発表した2018年には320件もの報告が上げられ、2019年4月末までには197件の報告が上げられました。

約5年間で500件以上の報告

少し脱線しましたが、今回のFDAによる報告にはこういった経緯があったのです。

話を戻して今回の調査内容ですが、調査機関となる2014年から2019年の5年120日の期間では犬が515件、猫が9件の拡張型心筋症の報告が上げられ、この中で2018年12月1日〜2019年4月30日の期間では222件の報告(犬が219件、猫が3件)が上げられました。

こうして調査結果を見ると、グレインフリーが拡張型心筋症を引き起こすのではないかという疑問が生じてきますが、調査はまだ続行中であることや、必ずしも関係しているという確証はありませんので、不安に思うには少し早いかと思います。

グレインフリーが悪影響を及ぼすとは言い切れません

調査された222件のうち、いくつかの報告では「同じ世帯からの複数の報告」があったことが挙げられます。同じ世帯ということは、他の影響(犬種ではない、遺伝的な要因や生活習慣など)も関係している可能性が考えられます。

また、アメリカ獣医師会が発表しているアメリカの飼育頭数は7700万匹。それに対して、今回報告されている件数が犬猫合計で5年間でも500件ほどですので、調査の割合としては0.0007%ほど。

だからと言って安易に考えることはできませんが、割合としてはかなり低い割合のデータですので、必ずしもグレインフリーのドッグフードが犬に悪影響を及ぼすとは言い切れません。

少し前置きが長くなりましたが、以上のような内容を踏まえた上で調査報告を見たほうが良いかと思います。(それでなければ、ただグレインフリーが悪というイメージになりかねませんので)

調査報告に上がった犬種と先天性疾患

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FDAの調査で報告された犬種について見ていきましょう。

アイリッシュ・セッター、アイリッシュソフトコーテッド・ウィートン・テリア、アフガン・ハウンド、アメリカン・ブルドッグ(6)アメリカン・コッカー・スパニエル(6)、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、ウィペット、オーストラリアン・シェパード(13)、オーストラリアン・キャトル・ドッグ、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、ゴールデン・レトリバー(95)グレート・デーン(25)、ゴードン・セッター、サルーキ、サモエド、ジャーマン・シェパード(19)ジャーマン・ショートヘアー・ポインター(7)シェットランド・シープドッグ(7)、ジャック・ラッセル・テリア、シーズー(5)、スタッフォードシャー・ブル・テリア、スタンダードロングヘアーダックスフンド、スタンダード・プードル(6)、ダルメシアン、チワワ、ドーベルマン(15)、パグ、ビーグル、ビズラ、ピットブル(23)、フラット・コーデット・レトリバー、ブルドッグ(5)、フレンチ・ブルドッグ、ベルジアン・タービュレン、ボクサー(11)、ボーダー・コリー、ボストン・テリア、ポメラニアン、ポルトガル・ウォーター・ドッグ、マルチーズ、マスティフ(8)、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャーテリア、ラフ・コリー、ラブラドール・レトリバー(47)、ローデシアン・リッジバック、ロットワイラー、ワイマラナー(7)ミックス犬(62)Unknown(13)、レトリーバー(指定なし)、シュナウザー(不特定)、シープドッグ(不特定)、猟犬(不特定)
※赤字は複数報告の上がっている犬種で、()内が報告件数です。

拡張型心筋症が遺伝的に多く見られる犬種

拡張型心筋症は、遺伝的に発症する可能性が高いと言われている犬種も存在します。

  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ゴールデン・レトリバー
  • アイリッシュ・ウルフハウンド
  • ニューファンドランド
  • スプリンガースパニエル
  • ドーベルマン
  • グレート・デーン
  • ボクサー
  • セント・バーナード
  • ジャーマン・シェパード
  • オールド・イングリッシュ・シープドッグ
  • ダルメシアン
  • ミニチュア・ピンシャー

以上からも分かる通り、拡張型心筋症は大型犬に多く見られる病気と言われており、大型犬以外ではスパニエル系の犬種も遺伝的に多いと言われています。

また、拡張型心筋症は遺伝的な要因の他にも

  • 成犬から中年期に多く見られる
  • メスよりもオスの方が多い

といった要因も関係していると考えられていますが、実際のところ拡張型心筋症を引き起こす直接的な原因については未だ明らかになっていません。

上記の犬種のうち、FDAの調査報告で最も多く報告が上がっていた犬種はゴールデン・レトリバーの95件、ミックス犬の62件、ラブラドール・レトリバーの47件と続きますが、ミックス犬を除く2犬種ついては遺伝的にも拡張型心筋症を好発するとして指摘されており、グレインフリーのドッグフードがどこまで関係しているのかは定かではありません

調査報告に上がったドッグフードの種類

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今回の報告で最も気になるのが、報告に上げられたドッグフードの種類ではないでしょうか。

と言っても、あくまで前項で上げた犬種が「食べていた」グレインフリーのドッグフードであり、下記に上げるグレインフリーのドッグフードが直接、拡張型心筋症に関連しているかどうかは、今の時点では調査中であり、関連性があるかはわからないという事を理解しておきましょう。

調査結果で最も多かったドッグフードは「アカナ」

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最も多くカウントされているのが、日本で販売されているプレミアムフードの中でもハイクオリティーなフードとして知られる「Acana(アカナ)」です。

アカナはグレインフリーのフードである前に、犬や猫が必要とする動物性タンパク源を多く含む、カナダ原産の良質なペットフードです。アカナのサイト を見ていただければおわかりになるかと思いますが、その品質については多くのペットフードと比較しても、かなり上位にあたるフードかと思います。

実際、この調査においてもアカナのフードが多かったということは、それだけアカナを与えている飼い主も多かったという事ではないでしょうか。

原材料も高品質なアカナのフード

参考として、アカナの小型犬・成犬用の「アダルト・スモール・ブリード」の原材料を見ていきましょう。

アダルト・スモール・ブリード

新鮮骨抜き鶏肉 (12%), 鶏肉ミール (12%), 七面鳥肉ミール (12%), 赤レンズ豆, 丸ごとグリンピース, そら豆, 鶏肉脂肪 (5%), 新鮮鶏臓器(レバー、ハツ、腎臓)(4%), ニシンミール (4%), 新鮮全卵 (4%), 新鮮丸ごとカレイ (4%), ニシン油 (2%), 日干しアルファルファ (2%), 緑レンズ豆, 丸ごとイエローピース, えんどう豆繊維, 新鮮鶏軟骨 (1%),乾燥ブラウンケルプ, 新鮮丸ごとカボチャ, 新鮮丸ごとバターナッツスクワッシュ, 新鮮丸ごとパースニップ, 新鮮グリーンケ―ル, 新鮮ホウレン草, 新鮮カラシ菜, 新鮮カブラ菜, 新鮮丸ごとニンジン, 新鮮レッドデリシャスリンゴ, 新鮮バートレット梨, フリーズドライ鶏レバー,フリーズドライ七面鳥レバー, 新鮮丸ごとクランベリー, 新鮮丸ごとブルーベリー, チコリー根, ターメリック, オオアザミ, ごぼう, ラベンダー,マシュマロルート, ローズヒップ, フェシウム菌(ビタミンEとローズマリーで天然保存) 添加栄養素:亜鉛

主原料は「新鮮骨抜き鶏肉」が12%、「鶏肉ミール」が12%、「七面鳥ミール」が12%と続き、原材料の3分の2が肉類で構成されています。
これが安価なドッグフードですと、主原料に「トウモロコシ」や「小麦粉」「コーングルテンミール」など、犬にとって消化しにくい穀物類が多く使用されていたりもします。

消化がしにくい反面、腹持ちが良いということになりますが、消化不良を引き起こしたり、肥満やアレルギーを引き起こす要因になる場合もあります。

穀物は含むべき?含まないべき?

主原料に穀物を使用しているプレミアムフードもありますが、消化しやすいように調理された穀物だからといって、肉と穀物のどちらが栄養価が高いかと比較してみれば、やはり肉の栄養価のほうが高く、犬や猫にも適していると考えられます。

ホームセンター等で販売されている安価なペットフードと比較しても、アカナの原材料はヒューマングレードの高品質な食材が使用されており、一般的にプレミアムフードと呼ばれるフードよりも高品質な内容です。

アカナからも今回の調査結果に対するコメントが発表されており、第三者研究機関による調査に取り組んでいる事や、拡張型心筋症とグレインフリーの関連性についてはまだ明らかになっていないということについて触れられています。

報告されたグレインフリーフードの主原料

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続いて、今回報告されたグレインフリーフードの「主原料」について見ていきましょう。

カウント数は以下の通りとなりますが、やはり主原料に使用されることの多い「チキン」が圧倒的に多いという結果に。前述のアカナもチキンが主原料となっています。続いて「ラム」「サーモン」「白身魚」と続いていき、日本国内ではまだまだ珍しい「カンガルー肉」が5番目にランクインしています
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拡張型心筋症はタウリン不足が原因?

拡張型心筋症を引き起こす要因として、食中のタウリン不足やL-カルニチンの不足が一つの懸念材料として指摘されています。ちなみに、タウリンは貝類に多く含まれ、L-カルニチンはラム肉に多く含まれます。

豆類を多く含むグレインフリーフードに関しては、タウリン不足を引き起こす可能性が高いというFDAの推測ですが、拡張型心筋症については原因の特定されていない病気であり、遺伝的な要因が大きいとも考えられている病気です。

グレインフリーのペットフードに関しては、ここ数年で一気に増加してきているジャンルでもあり、該当していたフードブランドは人気ブランドが大半であるため、該当していたフードブランドだけにターゲットを絞る、または関連付けるのは難しいと思われます。

さいごに

今現在も愛犬・愛猫にグレインフリーのフードを与えている方も多いかと思います。実際、私の愛犬たちに与えているのもグレインフリーのドッグフードですし、お客様に販売しているフードもグレインフリーのドッグフードがほとんどです。

今回の調査内容を全く無視できるわけではありませんが、拡張型心筋症以外にも懸念される病気は存在し、それを緩和・避けることのできるフードがグレインフリーフードである場合もあります。

まだまだ調査についても始まったばかりと言えますので、グレインフリーと拡張型心筋症との関連性を疑いすぎるには早すぎるかなぁと感じます。私としましてはこれまで通りと変わらずにグレインフリーのフードを与え続けていきますが、FDAの今後の調査についても注目していきたいと思います。

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minotake office代表 北海道札幌市でペット用品販売を行っています。

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