新たな動物性タンパク源として注目される、「昆虫」を使用したドイツ原産のドッグフード「インセクトドッグ(Insect Dog)」。
食物アレルギーに悩む犬は、ラムやホース、ベニソン、フィッシュといったように色々なタンパク源に切り替えていく機会も多いですが、今後は「昆虫」という選択肢も当たり前となってきます。
そこで今回は「インセクトドッグ」と昆虫食について解説。
犬の食物アレルギーになぜ昆虫食が注目されるのかを、原産国の情報も合わせてご紹介していきたいと思います。
インセクトドッグとは?
ドイツ原産のドッグフード「インセクトドッグ(Insect Dog)」は、動物性タンパク源として昆虫食の一つ「ミールワーム」を使用したドッグフード。
ミールワームとは主に甲虫の幼虫を指す総称で、チキンやラムといったお馴染みの動物性タンパク源を使用せず、ミールワームを100%使用したドッグフードです。
昆虫を使用したドッグフードと言っても、そのままの昆虫が混入しているわけではなく、上記の写真のとおり、しっかりとドッグフードの形状ですのでご安心を。
ドイツのフードメーカー「GREEN PETFOOD」
インセクトドッグを製造・販売しているのは、ペット先進国としても知られるドイツの「GREEN PETFOOD」という会社です。
GREEN PETFOODは「Josera(ジョセラ)」という、1941年に創業したドイツの老舗ペットフードメーカーの子会社で、高品質なフードと環境保護を両立したフードブランドとして、2014年に立ち上げられました。
因みに親会社であるジョセラのペットフードは、日本でも購入することができます。
ヨーロッパでは環境保全や食料危機の観点から、昆虫食が新たな食材として見直されてきている状況ですが、GREEN PETFOODも時代の流れに合わせた先進的なフードブランドと言えるでしょう。
「昆虫」は肉よりも優れたタンパク源?
インセクトドッグに使用されるタンパク源「ミールワーム」は、主に小動物や観賞魚、爬虫類などに与える「生き餌」の幼虫で、高タンパクで栄養豊富な餌として知られてきました。
「犬に幼虫を与えるの?」と驚く方も多いかもしれませんが、前述の通り、環境問題や食糧問題といった観点から「昆虫食」が注目されてきています。
日本ではまだまだ馴染みのない昆虫食ですが、これからは日本でも昆虫食が当たり前になる時代が訪れるでしょう。
タンパク源としてのミールワーム

と心配してしまいますが、意外にもミールワームを始めとした昆虫食は高タンパクな栄養源です。
牛肉と比較しても100gあたりのタンパク質量は、ミールワームの方が2倍以上も含んでいます。
- 牛肉:100g中 21g
- ミールワーム:100g中 50g
このほか、脂肪酸やミネラルといった栄養素も多く含んでいるため、優れた食材としてペットフードにも利用することができるわけです。
環境保護にも有効な昆虫食
GREEN PETFOODが環境保護にも配慮したフードメーカーであることを説明しましたが、ペットフードに多く使用される家禽動物を昆虫に切り替えることで、環境保護に大きな貢献をすることもできます。
そのいくつかの例を紹介していきます。
温室効果ガスの排出量は約10分の1
「メタンガス」は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつです。
牛や羊から排出されるメタンガスは、1kgあたり175kgのメタンガスが発生しますが、これを昆虫に切り替えると1kgあたり14kgにまで削減することが可能に。
水の消費量は1kgあたり約4分の1に
将来的に水不足に陥ると噂されていますが、この問題も昆虫食で解決に導くことができるかもしれません。
食肉を生産するために使用される水の消費量は、1kgの肉が約15,000リットルなのに対し、1kgのミールワームでは約4,000リットルです。
食肉1kg換算なので、牛一頭で換算するとさらに多くの水が消費されている計算になります。
アンモニアの生成は1000分の1以上
牛や豚などの家禽動物は排泄物の量も多いですが、結果として水の汚染や土壌汚染にも繋がる問題となります。
豚の体重1kgあたりで放出されるアンモニアは1,140mg、昆虫はわずか1mgの量です。
飼養地も省スペースで可能に
家禽動物の生産には多くの農業地が必要となります。
牛や豚を飼養するための施設や土地も、昆虫に切り替えるとより少ない土地で生産することが可能となります。
必要な飼料、牛は1kgあたり8kg、昆虫は1kgあたり2kg
世界は人口の増加に伴い、食糧危機に陥ると予測されています。
家禽動物を飼養する際にも飼料が必要となりますが、牛の体重1kgあたりで必要になる飼料は約8kg。
対して、昆虫1kgを生産するのに必要となる飼料はわずか2kgです。
因みに牛の体重はおおよそ700kg〜1,000kgほど。
アレルギー対策に最適なドッグフード
犬の食物アレルギーは、アレルゲンとなる特定の食材に対して発生するものですが、チキンを避けたり、穀物を避けたりと、アレルゲンとなる原材料を避けてドッグフードを選ぶ必要があります。
近年は穀物を含まないグレインフリーのドッグフードも一般的となってきたため、穀物に対してアレルギーを持つ犬はグレインフリーのフードに切り替えることでアレルギー対策をとることができます。
一方、特定の動物性タンパク源に対してアレルギーを持つ犬は、別のタンパク源(チキンやラム、ビーフ、フィッシュなど)を主原料としたフードに乗り換えていく必要があります。
しかし、これらのタンパク源に対してもアレルギーが現れてしまった場合、鹿肉や猪肉、エミュー肉、カンガルー肉など、どんどんとマニアックな原材料で作られたドッグフードに切り替えていかなければなりません。
動物性タンパク源は昆虫のみ
インセクトドッグ(低アレルゲン・オリジナル)の100gあたりのタンパク質は22.0%で、動物性タンパク源として原材料に使用されるのは昆虫(ミールワーム)のみ。
因みにミールワームに関しては、オランダとフランスの契約農家で薬剤を使用せずに育てられた高品質なミールワームです。
また原材料も以下のとおり、非常にシンプルな内容となっています。
合成添加物も不使用、遺伝子組換え作物も不使用、完全無添加のドッグフードなので、愛犬にも安心して与えることができそうです。
ペット保険のデータからもアレルギー皮膚炎の多さがわかる
アニコム損保が毎年公開している「アニコム 家庭どうぶつ白書2019」からも、皮膚炎に苦しんでいる犬の多さを確認することができます。
ペット保険の「犬の請求理由TOP20」を見てみると、5番目に「原因未定の皮膚炎(113,842件)」、8番目に「アレルギー性皮膚炎(54,618件)」がランクインしています。
必ずしも昆虫がアレルギーを引き起こさないわけではありませんが、昆虫食はフィッシュに並んで犬の食物アレルギーを回避する、選択の一つになると期待されています。
認知度としてはまだまだではあるものの、今後は昆虫食についても正しい理解をしていかなければいけません。
ドイツで販売されているインセクトドッグ
インセクトドッグは「グリーンペットフード・ジャパン」のサイトにて購入することができます。
以前は「ワンニャンフーズ(株式会社CHIKARA)」という企業がインセクトドッグを取り扱っていましたが2019年から販売が止まり、謎の空白期間を経て現在に至ります。
なお、2019年6月に出されたリリース情報では発売2ヶ月でお試しセットの利用者が5,000人を突破するなど、注目度の高さも伺える商品でした。
現在はグリーンペットフード・ジャパンの名称となり取扱い企業も変わったようなので、今後は取り扱いのラインナップが増えていくと思われます。
執筆時点(2022/04/11)で取り扱いのあるラインナップは以下の通り。
- (犬用)低アレルゲン・プレミアム小粒
- (犬用)低アレルゲン・オリジナル
- (犬用)ダイエット・ベジタリアン
- (猫用)2022年春予定
ドイツで販売されているラインナップ
本社のあるドイツで販売されているインセクトドッグのラインナップは以下の通り。この他、キャットフードのラインナップも揃います。
※パッケージは以前のものとなります
InsectDogシリーズ

ハイポアレルゲン アダルトは、タンパク源として昆虫タンパク質を100%使用、穀物不使用の低アレルゲンなドッグフードです。
もう一つのセンシティブ アダルトも同様に昆虫タンパクを100%使用、さらに消化器系・免疫力にも配慮したフードとなっています。
日本での取り扱いはハイポアレルゲン アダルトに該当する「低アレルゲン・オリジナル」の商品名で販売され、ドイツでも取り扱いのない小粒サイズのハイポアレルゲン「低アレルゲン・プレミアム小粒」が販売されています。
VeggieDogシリーズ

ラインナップは「グレインフリーアダルト」「オリジンアダルト」の全2種類。
日本ではグレインフリーアダルトに該当する「ダイエット・ベジタリアン」の商品名で販売されています。
FarmDogシリーズ

ラインナップは「ミニ グレインフリー アダルト/ジュニア」「アクティブグレインフリー アダルト」「カントリー」の全3種。
日本での取り扱いはありません。
気になるお値段は?
インセクトドッグは定期購入のスタイルで、注文周期も自由に設定することができます。(一時停止、解約もいつでも可能)
以下は「低アレルゲン・プレミアム小粒」の価格例。
単品購入 | セット購入 | 定期購入 | |
---|---|---|---|
900g (送料 715円) |
2,398円 | – | – |
900g×3袋 (送料無料) |
– | 7,194円 | 6,475円 (10%off) |
900g×5袋 (送料無料) |
– | – | 10,192円 (15%off) |
ヨーロッパでの価格は?
因みに本国、ドイツのインセクトドッグの価格を調べてみました。
※いずれも2020/06/26現在のレート。世界的なコロナショック期間なので、判断が難しいところもありますが・・・
ドイツのGREEN PETFOODの直営サイトでは2.7kg(900g×3)の価格が16,90€、日本円にすると約2033円(約0.75円/g)になります。
スペインのアマゾンでは900g×5(4.5kg)が40.15€で販売、日本円にすると約4,826円(約1.07円/g)ほど。
アマゾンなので、ペット用品店ではもう少し高いかもしれませんね。
グラム単価でみると、日本では1gあたり2.74円(初回は1.74円)の計算になるので割高感は否めませんが、フードの内容と輸送費等を考慮すると・・・どうしても高くなってしまいますね。
インセクトドッグの口コミをチェック
インセクトドッグはおすすめのドッグフードであることは説明してきた通りですが、やはり気になるのはドッグフードの食いつきですよね。
実際のところ、こればかりは与えてみなければわからないのですが、新しいフードを与える際のコツもありますので、また別記事でご説明していければと思います。
下記の動画では、トイ・プードルがインセクトドッグをカリカリ食べている様子が見られます。
スペインのアマゾンでの評価は以下の通り。
スペインのアマゾンでの評価は、5段階評価で4.6の高評価。
53件ある口コミの中から、より詳しく書いている口コミを抜粋しました。因みに悪い口コミがなかったため、抜粋できませんでした。
(google翻訳に入れたままの記載なので、日本語がおかしい感じになっていますがあしからず。)
Tenemos un perro bull terrier blanco que es alérgico a casi todo. Después de que ella reacciona a la proteína de caballo, necesitábamos un nuevo alimento. Estoy muy emocionado, apenas pica, las patas finalmente se curan de nuevo, y las pústulas en la espalda desaparecieron por completo.
(google翻訳)
私たちはほとんどすべてにアレルギーがある白いブルテリア犬を飼っています。彼女が馬のタンパク質に反応した後、私たちは新しい食べ物を必要としていました。私は本当に興奮しています、それはほとんどかみません、足は最終的に再び治り、そして私の背中の膿疱は完全に消えました。
馬肉などにもアレルギー反応のあるブルテリアも、インセクトドッグでは食物アレルギーが出なかったようですね。
Mi bulldog francés tiene muchos problemas con las alergias. Hasta ahora encaja bastante bien con esta comida.
(google翻訳)
私のフレンチブルドッグはアレルギーの問題がたくさんあります。これまでのところ、この食事にとてもよく合います。
このフレンチ・ブルドッグもインセクトドッグでアレルギー反応がでなかったようです。
ドイツのドラッグストア「dm.de」
ドイツのドラッグストア「dm.de」での評価は5段階中、星4.9という高評価。
16件ある口コミの中から、抜粋した口コミが以下の通りです。こちらも同じく、悪い口コミがなかったです。
Für unseren Allergiker die beste Alternative! Das lästige Kratzen und die Ohrenentzündungen sind weg…
(google翻訳)
私たちのアレルギー患者のための最良の選択肢!迷惑な引っかき傷や耳の感染症はなくなりました…
こちらでもアレルギーの症状が収まってきている様子です。
Seitdem mein Hund dieses Futter frißt, hat er keine Allergien und juckattaken mehr
(google翻訳)
私の犬がこの食べ物を食べ始めて以来、アレルギーやかゆみの発作はありませんでした
アレルギー症状であるかゆみの緩和ができているようです。
まとめ
昆虫食とインセクトドッグについて解説してきました。日本ではまだ馴染みの薄い昆虫食ですが、これからはドッグフードだけでなく、おやつ等でも登場してくるような気もします。
気持ちが悪い気もしますが、こうした感覚も数年後には古い感覚になっていくのかもしれませんね。
愛犬のアレルギー対策にも有効なインセクトドッグですので、フード選びで悩んでいる時に、一度試してみてはいかがでしょうか。